エッセイ

月報「あしょろ」から、エッセイを転載しています。

2012年2月号「龍にちなんで」

矢口以文

不思議なことに、龍は架空の動物だが、古今東西にわたってほとんど同じ姿をしている。中国では幸せをもたらす超自然的な存在で、古い寺院などの屋根に載せられている。日本でもヤマタノオロチの伝説以外、ほとんどの場合、良い、神聖な動物である。しかし龍は古代の中近東やヨーロッパでは悪なるものとして、嫌われている。

聖書の世界では、神にそむく悪魔か悪魔的な力として警戒されている。洪水や津波を引き起こし、人の住む世界に混乱を惹き起すとして、恐れられている。しかしその龍も必ず神に罰せられ、その結果として平和がもたらされるというのが聖書の民の信仰である。災害は「龍」のせいであろうとも、また自然災害であろうとも、それが起こった時にも、神に信頼し、希望をもって生きることが大切だと古代の人たちは信じていた。大地震と大津波を経験した私たちにも当てはまる信仰ではなかろうか。




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2012.1 これでいいのだ POCO1959